新築の家に住む場合
まだ人の住んだことのない「新築」は、やはり気持ちのいいものです。しかし値段が高額であったり、希望通りの立地条件を見つけることが難しい場合もあります。
新築のメリット・デメリットをしっかり把握した上で未来を見据えたあなたの「マイホーム」をイメージしてみましょう。
すまいに関する基本的な情報や実際の物件などを見ておくのもイメージする手助けになりますので、チェックしてみてください。
新築に住む場合のメリット
新築に住む場合のメリットは何と言っても「新しさ」ですが、その他にも中古にはない住宅保証や優遇制度などのメリットがあります。以下で詳しく見てみましょう。
気分のよさと最新設備
CHECK POINT
- 「新しさ」による気分の良さ
- 新築ならではの最新設備
- 設備面での維持費用の安さ
新築に住む場合やはり新しさが最大の魅力です。新しいと気分がいいものですし、まっさらな家で暮らし始めるのは格別です。注文住宅、分譲一戸建て、分譲マンションといった新築住宅を購入した世帯が新築を選んだ理由として最も多いのが「新築のほうが気持ちがいいから」という調査結果もあります。もちろん賃貸の場合でも新築物件に初めて住むのは気持ちがいいことでしょう。
また「新築ならでは」と言える最新の設備が設置されている住宅が多いのはもちろんです。機能的なシステムキッチンや浴室乾燥機能付きのバスルーム、床暖房やオール電化など好みの設備を選ぶことができるでしょう。設備の新しさは住宅の維持費用を抑えるというメリットも生み出します。一般的に壊れにくいのはもちろん、トラブルも少ないと言えるでしょう。
さらに新築は住宅構造も最新の工法で建てられている場合が多いです。しっかりとした耐震構造が設計されていれば安心感につながり、断熱性や気密性が高ければ光熱費の節約になり、それらもまたメリットと言えそうです。
手厚い支援と優遇制度
CHECK POINT
- 新築住宅の10年保証
- 新築住宅の補助金や税金控除
新築住宅には「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によって最低10年の保証があります。住宅の基本構造部分の不具合や欠損、雨漏りなどがあった場合は建設業者や宅建業者など売主の責任となり保障されます。
また新築は建てるにも購入するにも国や自治体から補助金があったり、税金控除があります。どのような住宅であるかによって交付される補助金や金額も変わってきますので、家を建てる場合は施工前に知っておくと良いでしょう。
国からの補助金や助成金、優遇制度にはそれぞれ適用条件があります。制度によって受付や申請の期間が決まっているため注意が必要です。たとえば消費税率の引き上げに伴って2014年から実施された「すまい給付金」は2021年度で終了し、2022年に新設された「こどもみらい住宅支援事業」は交付申請期間中に予算上限に達したため予約受付が終了となっています。2023年5月時点の国からの補助金には「こどもエコすまい支援事業」や「ZEH(ゼッチ)支援事業」などがあります。
「こどもエコすまい支援事業」は、注文住宅の新築と新築分譲住宅の購入への補助(子育て世帯または若者夫婦世帯が対象)と、住宅の省エネリフォームに対する補助です。「ZEH支援事業」は経済産業省・国土交通省・環境省による住宅の省エネ、省CO2化に向けた3省連携の取り組みです。「ZEH」は「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、国土交通省では「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」と説明しています。
詳しくはリンクを貼っておきますので、適用対象となりそうな方は是非ご活用ください。
また地域によっても補助金や助成金を設けています。省エネ住宅や耐震工事、移住や子育てなど自治体独自のさまざまな適用要件がありますので必ずチェックしておくようにしましょう。他にも住宅ローンを利用した場合の税金控除や、登録免許税や不動産取得税、固定資産税の軽減などがあります。情報を得たり申請の手間などがありますが、このような保障や補助があることは新築に住む場合のメリットと言えるでしょう。
新築住宅のタイプと特徴
CHECK POINT
- 新築住宅は大きく分けて6タイプ
新築住宅にはいくつかのタイプがあります。簡単にそれぞれの特徴を紹介しましょう。
注文住宅
自分で建てるフルオーダーの住宅です。土地は別で必要となるため、すでに土地を所有しているか土地購入の目処が付いている必要があります。フルオーダーであるため高価になりますし、完成までの時間も要しますが、好みやこだわりを存分に叶えられる自由度の高さが最大の魅力です。自分や家族だけの独自のマイホームと言えるでしょう。
規格住宅
用意されたプラン(規格)から選択して建てる住宅です。注文住宅同様に土地は別になります。ハウスメーカーや工務店などが用意したデザインや間取り、設備などを組み合わせて建てるため注文住宅に比べて費用は抑えられ、建築期間も短く済む場合が多いです。
建売(分譲)住宅
「建売住宅」はすでに完成した家と土地がセットで購入できる住宅です。「分譲住宅」は分譲地に同じような形で建てられた建売住宅のことです。立地条件によって価格の上下はありますが、分譲住宅の場合は複数の家をまとめて建てているため購入費用は比較的安く抑えられるでしょう。すでに出来上がっている場合が多く入居までの時間が短いのが特徴です。
賃貸一戸建て
新築と賃貸の良さを兼ね備えた物件です。賃貸マンションと比較すると賃貸一戸建ては物件数が少なく、さらに新築となると数は限られてくるでしょう。家賃も高めになりますが「購入」する場合と比較して初期費用を抑えられる点は魅力です。
分譲マンション
新築の良さとマンションの良さを併せ持った物件です。設備が最新であることはもちろんですが、さらにマンションならではと言える最新のサービスを備えた物件も多くあることが分譲マンションの特徴です。最近では都市部のマンション価格が上昇しているため、立地や周辺の利便性によっては一戸建てとほとんど変わらない価格の物件もあります。
賃貸マンション
賃貸でも新しい住宅機能や設備となっているため人気の物件と言えるでしょう。一戸建てにこだわらず、かつ住宅を購入しない人がわずかですが増えてきたこともあって分譲マンションと遜色ない高級な物件もあるようです。
新築に住む場合のデメリット
新築のデメリットとしてまず挙げられるのは購入価格が割高になってしまうことでしょう。また住んでみるまでわからないことがあったり、立地の良い物件や希望のエリアで探すのが難しいことなどデメリットとして考慮すべき点もあります。以下で詳細を見てみましょう。
価格が高い
CHECK POINT
- 中古と比較した場合の価格の高さ
- 価格相場を把握しておく
中古と比べると新築の値段は大きく違ってきます。たとえば立地条件や間取り、住宅性能などが同じような住宅でも新築ということで高価になります。
「新築なのに価格がこんなに安い」という物件があった場合なにか問題のある住宅という可能性も考えられます。価格相場を大まかに知っておくと役に立つのではないでしょうか。気に入った物件を見つけた際にはそのエリアの他の物件価格も調べておくと安心です。
一つの目安として新築住宅と中古(既存)住宅の価格を紹介します。首都圏1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)で2021年4月から2022年3月までの間に住宅を購入した(引渡しを受けた)世帯を対象にしたアンケート調査から、住宅の購入価格です。
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新築戸建・平均5926.4万円
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既存戸建・平均4740.2万円
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新築マンション・平均6064.7万円
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既存マンション・平均4967.3万円
この数字では住宅のタイプや広さ、立地条件、中古なら築年数などはわかりません。価格そのものについても東京、神奈川、埼玉、千葉では違います。地域によって価格は大きく変わっていくため、あくまでも新築と中古の価格差の目安として参考にしてみてください。
メリットで紹介したように新築では補助金や税金控除といった優遇制度があり、建物や設備なども新しいので維持費用は比較的安く抑えられます。それでも上記のように中古との価格を比べると、やはり新築の価格の高さはデメリットの一つとして考慮すべき点ではないでしょうか。
住んでみるまでわからないこともある
CHECK POINT
- 暮らしてからはじめて知ることが多い
- 購入前に住宅内部を確認できない
新築物件は建築中から販売募集をすることがあり、実際に住んでみるまで全てを理解するのは難しい場合もあります。
一戸建てでは、ひび割れや雨漏りなど入居後に発覚する住宅の不具合が稀に見つかる場合もあります。もちろん新築では「品確法」に基づく10年の保証や「住宅瑕疵担保履行法」による保証があります。しかし保証があるとはいえ新居に不具合が見つかるのは気持ちのいいものではないでしょう。
新築は購入前に住宅内部を確認できないことが多いです。集合住宅であるマンションの場合は、エントランスやエレベーターなど共用エリアの雰囲気が事前にわからないことは特にデメリットと言えそうです。
図面で間取りや設備は確認できますし、パンフレットやモデルルームを通じてある程度のイメージを把握することもできます。しかし実際に入居してみると、想像していたイメージと異なってしまうこともありそうです。たとえば日当たりや周辺の音、住み心地など、実際に住んでみて初めて気づくことも多いでしょう。情報収集や事前の確認など、契約前にできることはしっかりとしておくことが肝要です。
立地条件の難しさ
CHECK POINT
- 利便性の高い物件は限られる
- 土地の状況を知ることが大切
利便性が高い場所にはすでに住宅が建っていることが多いため、希望通りの立地条件を持つ物件に出会うのはむずかしいかもしれません。とくに一戸建てでは利便性の高い物件は限られてきます。マンションは一戸建てと比較すると駅の近くなどに新築が建てられることも多いですが、それだけ価格が高くなります。
また利便性は求めるとキリがなくなってしまいます。たとえば通勤のために駅の近くで、買い物にも便利で、子どもの学校もそばにあって、さらに近所に緑の多い公園があって、実家とも行き来できる距離で、といったように希望はいくらでも出てきてしまうのではないでしょうか。
すべての条件が完璧に揃った物件を見つけようとすると、あれこれ迷ってしまったり、いつまでも探し続けたりと大変です。無理にこだわろうとせずに優先順位をつけておきましょう。
また長く暮らすことを考えて、住宅が建っている土地の状況をある程度は知っておきたいものです。これは新築に限らずすべての住宅に言えますが、どのような立地に建てられているかを知っておくことはとても大切です。できる限り情報を得たり、調べたりしておきましょう。
新築の家に住むなら
新築に住む場合のメリット・デメリットを上げてみましたが、いかがでしたでしょうか。
真新しい家で暮らし始める気持ちよさはもちろん、最新の設備、保証や優遇制度などが充実しているなどがメリットとしてあり、希望通りの立地で見つけられなかったり、購入前に実際の家を確認できないことなどがデメリットとしてあります。高額な買い物となるため購入するには大きな決断が必要になるかもしれません。
新築物件の中でも一戸建てとマンションではそれぞれにメリット・デメリットがありますので、ぜひ以下のサイトも参考に検討してみてください。
中古の家に住む場合
中古住宅は購入価格が抑えられ、購入する前に実際の物件を見ることができる安心がある反面、保証が薄く、築年数によっては古いことへの不安があると思います。
中古のメリット・デメリットをしっかり把握してあなたに合った「マイホーム」を見つけていきましょう。
すまいに関する基本的な情報や実際の物件を知ることもイメージをつかむ手助けになりますので、チェックしてみてください。
中古に住む場合のメリット
中古の家に住むメリットとしては適切な価格やその資産価値が下がりにくいこと、物件によって自分のこだわりを活かせることなどがあります。以下で詳しく見てみましょう。
購入価格の安さ
CHECK POINT
- 新築より購入価格が低い
- 資産価値の下がり幅が緩やか
- 売主が個人なら消費税がかからない
中古物件を選ぶ理由として「価格や家賃が適切だから」という人は多いでしょう。しかし中古だから価格が安いと言ってもそれなりの相場はあるものです。あまりにも安い物件は「掘り出し物」でも「お値打ち物件」でもなく見た目だけ綺麗にリフォームしていたり、欠陥を隠している「ワケあり物件」という可能性もあります。破格に安い物件には十分に注意するか、できれば避けたほうがよいかもしれません。
新築、中古によらず相場はありますが、新築よりは中古のほうが価格が低くなります。また住宅は新築で購入しても数年経てば市場では中古となって価値が下がってしまいますが、中古の場合は築年数が経つほどに資産価値の下がり幅が緩やかになっていくため、購入時の資産価値を保ちやすいという面があります。新築へのこだわりがなければ購入価格を抑えられる中古住宅は大きな魅力と言えます。
さらに売主が個人の場合は住宅購入の消費税が掛かりません。住宅は高額なので消費税も大きな負担となります。新築、中古ともに土地は非課税ですが住宅(建物)に関しては消費税が掛かります。ただし中古住宅で売主が個人の場合は消費税は掛かりません。一般的に販売しているのは不動産会社や仲介業者がほとんどなので、もし気になった物件があれば売主が個人かどうかを確認しておくと良いでしょう。
現物を見て判断できる
CHECK POINT
- 現物を見てから購入できる
- 設備を引き継ぐことができる
- 選択肢が多く、短期間で入居可能
中古物件の場合、購入前に現物を見ることができる場合が多いです。実際に物件を見て確認できることは安心につながりますし、自分たちが暮らしていくイメージもしやすいでしょう。日当たりも含めた採光や風通し、天井の高さ、部屋の広さや間取りの感じなど図面だけではわからない住宅の雰囲気も把握できることは大きなメリットと言えます。
マンションであれば眺望はもちろん、窓を開け閉めすることで遮音性や周辺環境の音の聞こえ具合も確認できます。共用部分である廊下や階段、エレベーターホールやゴミ集積所などは管理がどれだけ行き届いているかを見極めるポイントになります。近隣住人の様子もわかるかもしれません。現物を見に行く場合には自分が暮らしていくことを想像しながら確認しましょう。
また新築では自分たちで必要な設備をすべて揃えることになるのに対して、中古の場合すでにあるエアコンや照明器具などをそのまま引き継ぐことができるケースもあります。その辺りについては「付帯設備表」があれば明記されています。もし付帯設備表がない場合は付帯設備として引き継ぎ可能な設備はどれになるか見学の際に確認しておきましょう。
さらに中古は物件が豊富にあるため選択肢が多いことや短期間で入居できることも利点です。基本的に先着順で契約が決まるため、ためらったり迷っていると先を越されてしまう場合もあります。条件のよい物件ほど競争は激しくなるため、立地や間取り、広さやデザインなど少しでも気になった物件を見つけたら出来るだけ早めに見に行ったほうがいいかもしれません。
なにより物件を多く見ることで価格も含めた住宅の価値基準が自分の中で明確になってくることもあります。自分や家族が暮らしていく家ですから、時間や手間を惜しまずに現物を見て判断できるというメリットを活かすようにしましょう。
こだわりを活かせる
CHECK POINT
- リフォームやリノベーションでこだわりを活かせる
- 柔軟な住まいづくりができる
新築よりも安く購入できる分リフォームやリノベーションをして好みやこだわりを活かせるのが中古の魅力です。
「リフォーム」は経年によって劣化した住宅や設備を回復、修繕することです。「リノベーション」は改修、改装といった意味で、今ある住宅に新しい設備や機能を加えたり大幅な間取りの変更などをすることです。どちらもそれなりの費用が掛かりますが、新築を購入するより安く済むのがほとんどと言っていいでしょう。
中古物件には大きく分けて、リフォーム済み住宅、リノベーションをしてある住宅、リフォームもリノベーションもしていない住宅の3タイプがあります。最近では、はじめから自分や家族の好みに合わせた住まいにするつもりでリフォームもリノベーションもされていない中古物件を購入する人も多いようです。新築と比べて中古のほうが比較的広い住宅が多いので、リフォームやリノベーションがしやすいのかもしれません。
ただしリノベーションを前提に物件を選ぶ際には制限がある場合もあります。とくにマンションでは規約にリノベーション可能な範囲などが定められていますし、構造上の問題として天井高や支柱など変更できないところもあったり物件によって制限の度合いも変わってきます。またリフォームやリノベーションをするのであれば、その工事期間は移住できないことも頭に入れておきましょう。
浴室、キッチン、トイレなどの水回りはリフォームすれば新しい設備になって気持ちよく使えますし、間取りを大きく変えてリビングを広くしたり、耐震性や省エネ性能の強化といったリノベーションなど希望に合わせた柔軟な住まいづくりができそうです。
さらにリフォームをすることで減税制度を受けられる場合があります。耐震、バリアフリー、省エネといったリフォームに対して、所得税控除や固定資産税の減税などの優遇もあります。リフォーム検討の参考にしてみてください。
また新築購入における補助制度である「こどもエコすまい支援事業」では住宅リフォームも補助の対象となります。省エネや子育て対応、バリアフリーなど工事対象がいくつかありますので、リフォームする際にはぜひ参考にしてみてください。
こだわりを活かしたり、それぞれの家族に合わせた柔軟な住まいづくりができるのは中古住宅の大きな魅力と言えるでしょう。
中古に住む場合のデメリット
中古に住む場合のデメリットとしては、住宅維持に掛かる費用や保証が薄いことがあります。また物件や築年数によっては、耐震性や土地も含めた建物の状況把握やリフォームなどが必要な場合もあります。以下で詳しく見てみましょう。
住宅維持費の負担
CHECK POINT
- 状態によって修繕費が大きい
- マンションの大規模修繕に注意
中古に住む場合は、築年数による住宅の傷みや劣化の度合いによって、修繕費を含む住宅維持費の負担が増してしまいます。
マンションの場合は築年数が経っているほど修繕積立金が高くなる傾向にあります。さらに数年に一度のサイクルで大規模修繕の工事が行われます。その際毎月の修繕積立金の他に緊急の一時金として数万円を徴収される場合があるため、事前に大規模修繕がいつ行われたかを知っておくことはとても大事になります。入居と大規模修繕のタイミングを知ることで金銭面での計画も立てやすくなるでしょう。
一般的にマンションの大規模修繕のサイクルは12年から15年ごとに行われると言われています。地域の自然環境や物件建物によって年数に差はありますので、気に入った物件があれば「修繕履歴」や「長期修繕計画」を必ず確認するようにしましょう。適切なメンテナンスがなされ、長期修繕計画がしっかり立てられているマンションを選ぶことで安心につながります。
一戸建てもまた、古ければそれだけ修繕しなければならない部分が出てきます。住み始めてそれほど月日が経っていないのに不具合が発覚するというケースもあるので、心配であれば建物状況検査(ホーム・インスペクション)をしておくと安心です。
また一戸建てはマンションのように月々の修繕費を支払う必要がない分、住宅維持のための修繕費を自分できちんと計画を立てて用意しておく必要があります。とくにリフォームやリノベーションを施さないつもりで入居した場合には、突然の出費が発生する場合もあるため注意が必要です。築年数にもよりますが、それなりの年数を経ている中古住宅では維持費の負担があることをしっかりと把握しておくようにしましょう。
保証の薄さと仲介手数料
CHECK POINT
- 新築にある10年保証が中古にはない
- 購入の際に仲介手数料がかかる
新築住宅には「品確法」によって10年の保証があります。この10年間は「瑕疵(かし)担保責任期間」で、もし住宅に隠れた欠陥(瑕疵)があった場合に住宅引き渡しから最低10年間は売主などが責任を負うというものです。範囲は住宅の構柱、床、屋根などの造耐力上主要な部分と雨漏りなど、雨水の侵入を防止する部分に限られます。これは新築住宅を対象にしたもので中古住宅には適用されません。
中古住宅には宅建業法による「瑕疵担保責任」があります。売主が宅建業者である場合は住宅引き渡しから最低2年間の「瑕疵担保責任期間」があり、保障されます。ただし売主が個人の場合はこの「瑕疵担保責任期間」は任意となり、契約書で定められます。2ヶ月から3ヶ月が一般的のようですが、免除(保障なし)の場合もあるため契約時にしっかりと話し合って確認することが大切です。万一に備えて瑕疵保険に加入することも検討したり、大手不動産会社では独自の「瑕疵保障」を取り入れているところもありますので気にしておくと良いでしょう。
もう一つ中古住宅購入の際に注意しておきたいのは仲介手数料です。新築、中古どちらも土地や住宅価格の他に諸費用が必要になります。諸費用には登記費用や火災・地震の保険料、不動産所得税、住宅ローンを組んだ場合には借入のための手数料や保証料などがありますが、さらに中古のみに掛かるものとして仲介手数料が加わります。
諸費用の中でも仲介手数料は高額で、以下のように利率が決まっています。
仲介手数料 : 売買価格 × 3% + 6万円
たとえば4,000万の家を購入した場合は、仲介手数料126万円(税抜)となりますので、かなり大きな出費と言えます。事前にきちんと把握しておきましょう。
中古に住む場合に知っておくべきこと
CHECK POINT
- 「築浅住宅」と「築浅物件」
- 「物件状況報告書」と「付帯設備表」
- 建築基準法による「耐震基準」
中古住宅に住む場合に知っておきたい、気をつけたいことがいくつかあります。まず築浅住宅、築浅物件と呼ばれる築年数の浅い住宅があります。一般的には築年数3年から5年以内のものですが、中には1年以内という新しい物件もあります。メリットとしては新築に比べて価格は低く、使用感の薄さや最新の設備、リフォームの必要もない点でしょう。
一方で新築から数年で売却されるには相応の理由があるとも考えられます。たとえば住宅の施工不良や近隣住民とのトラブル、周辺の騒音、あるいは事件や事故など、心理的に解決の難しい問題もあるかもしれません。住み始めてから後悔することのないように事前にしっかり確認しておく必要があります。
また中古にはリフォーム済み、リノベーション済みの物件があります。リフォームされていれば内装や設備が新築のように綺麗です。リノベーションではグレードの高い設備やデザインにこだわっていたり、個性的な物件もあります。どちらも見学できますし、すぐに入居できるメリットがあります。ただし見た目は綺麗でも建物自体の劣化や不具合などはわかりません。むしろ見た目が綺麗なだけに見落としがちになることもあるでしょう。そこで必ず確認したいのが「物件状況報告書」と「付帯設備表」です。
「物件状況報告書」は土地建物に関する不具合や雨漏り、シロアリや火災の被害、増改築(リフォーム・リノベーション)の履歴などの情報と、騒音などの近隣トラブルについても明記されています。「付帯設備表」には設備の有無と、その故障や不具合の有無が記されています。この「物件状況報告書」と「付帯設備表」の項目は会社によって違いますので、もし気になる点の記載がなければ、しっかり確認しておきましょう。さらに気になる人は、ホームインスペクション(住宅診断)を依頼しても良いでしょう。費用はかかりますが、専門家が第三者の立場で調査をしてくれるので安心です。
リフォーム・リノベーションされている物件は、中古の中でもとくに築年数が古い住宅もあります。地震の多い日本ですから、築年数が古い住宅の場合は耐震性や耐久性を把握する必要があり、その指標として耐震基準があります。
耐震基準とは建築基準法などに定められた「建物が最低限満たすべき地震への耐性基準」です。この耐震基準は1981年に大幅に改正されたため、1981年6月以降の新耐震基準に沿って設計、建築されたものは新耐震基準の住宅となり震度7程度の地震で倒壊しないことが想定されています。
一戸建て、マンションともに1981年以前の旧耐震基準の住宅は現在でも流通していますので、新耐震基準であるかどうかを確認しましょう。あくまでも一つの目安なので中古を選ぶ際には住宅のメンテナンスや施工、地盤などを十分に把握して選ぶことが大切です。もちろんこれはリフォーム・リノベーション済み物件に関わらず、中古物件すべてにおいて、気をつけたいところです。
中古の家に住むなら
中古の家に住む場合のメリット・デメリットを挙げてみましたが、いかがでしたでしょうか。
価格を安く抑えられる上に現物を見て選ぶことができますし、物件によっては自分のこだわりを活かせるでしょう。その一方で、保証が薄く、手数料の負担もあります。何よりも住宅の状態、状況を把握して、しっかりと確認することが大切になってくるので注意したいものです。
中古でも一戸建てとマンションではそれぞれにメリット・デメリットがありますので、ぜひ以下のサイトも参考に検討してみてください。
メリットとデメリットを知り、自分に合ったすまいを手に入れよう!
物件探しを始めていくと、なかなか条件に合う物件がなかったり、新たな希望条件が出てきたりと、思っていた通りには行かないことも、しばしばあります。
あくまでも目標は「自分や家族に合ったすまい」を手に入れることなので、はじめに決めた希望条件に固執しすぎることなく、柔軟に対応できる余裕と冷静さを常に意識しておきたいものです。
「隣の芝は青い」という言葉がある通り、あれこれと比較すれば誰でも自分のイメージを見失いがちです。本記事では新築と中古のメリット・デメリットを挙げましたが、もちろんそこに優劣はなく、あなたにとって「合う」か「合わない」かを、しっかり判断することが大事です。なによりも自分や家族に合ったすまいを目指して探してみましょう。
自分や家族が暮らす、リラックスして過ごせる場所。本記事を参考に一戸建てとマンションのメリット・デメリットを知って、あなたや家族にとって最適なすまいに出会い、手に入れてください。